2013年6月9日

音楽が語りかける!〜オーケストラ・リベラ・クラシカとハイドン

〜何はともあれ、ハイドンの明るさ溌剌さ、滋味、ユーモア、そしてアタマを使わせられるアイデアの数々を、オリジナル楽器のサウンドと共にどうぞ最後までお楽しみ下さい。〜

この一文は、昨日行ってきたオーケストラ・リベラ・クラシカ(以下OLCと略します)第31回定期演奏会のパンフレットに書かれている指揮・チェロ独奏・何よりこのオーケストラの主宰でもある鈴木秀美さんのお言葉から最後の部分だけ抜き出したものです。
そしてそのお言葉通りの世界、それも物凄くウキウキ和やかで、かつ音楽がキラキラ輝き出した瞬間を味わってくる幸運に恵まれたのでした。

今回の演目はこちら。
会場は上野から徒歩数分の所にある上野学園 石橋メモリアルホールです。
オール・ハイドン・プログラム
チェロ協奏曲第1番ハ長調 Hob.VII-b.1
交響曲第4番ニ長調Hob.I-4
交響曲第87番イ長調Hob.I-87

ハイドンについては全く知らない訳ではありませんがそれでも「殆ど知らない」に等しい位でしか認識していなかった様に思います。
何回か演奏会で交響曲聴いていますし(鈴木さんとは山形交響楽団との2011年7月の定期演奏会を山形で聴く事が出来ました。あの時の「軍隊」もとても楽しかったなぁ。この演奏会はCDになっていますので良かったら)何より3月白鷹町で聴いたアンコールのハイドンの弦楽四重奏1番の一部…本当に一部なんですよ。その穏やかな美しさに惹かれて俄かにハイドン熱が盛り上がり、もうちょっと良く知りたいなぁ、と思ったのです。ところが…
ハイドンが多作だというのは以前から知ってはいたのですが、アンコールの弦楽四重奏の1曲が知りたくて買ったNAXOSのハイドン弦楽四重奏全集は25枚組!交響曲は「軍隊」が100番だから覚悟していたけど全集だと34枚!とてもじゃないけどすぐに味わい尽くすのは無理無理無理。
でも交響曲も多少知りたかったので中期中心の7枚組を買いました。その頃紀尾井シンフォニエッタでの定期演奏会で88番「V字」がプログラムにあったこともあったからです。この曲もとても優雅で、あの時も楽しかったなぁ…ついでに次の89番は「しょうじょうじの狸囃子」に激似で別の意味でおかしい…
そうしたら今度は44番「悲しみ」がテレビ・題名のない音楽会で特集されたり、ちょっとしたマイ・ハイドンブームがやって来ていたのです。必然的にハイドンを良く取り上げるOLCにも関心が行くわけですが…しかし上野(それも駅からちょっと歩く)遠いなぁ、あと前から書いていますが「演奏会を聴くのも頭やエネルギーを消耗する」行為でもあるため、実際に行くと決めたのは演奏会の前々日、結構ぎりぎりでした。
ハイドンの膨大な曲目リストからも当然?知らない曲ばかりで、急遽87番だけ数回CDを付け焼き刃で聴いてから行きましたが果たしてそれでいいのやら…しかもピリオド奏法はまだしも、OLCの特徴でもある当時のオリジナル楽器使用ってひょっとするとマニアック過ぎてついていけないかもしれない、という不安も若干チラつきました。

ところがどっこい!!最初の音からその柔らかい世界にニコニコして聴いていました。オリジナル楽器の知識まるで必要なし(あればもっと楽しいでしょうけど・・・恐らく現代のオーケストラ楽器よりどれも演奏は難しい筈です。)
ホールと楽団の規模も非常に合っている。実はこの要素はとても重要だと思っています。時折興行的側面から、リサイタルを大ホールで行ったりしてそういう時は音が分散したり、あるいは小さなホールで詰め込みすぎて聞えがよくなかったりするのですが、ここではベストに近い感じ組み合わせ。凄く豊かな音が広がりを持たせつつ心に真っ直ぐ響いてくるのです。そしてとてもとても上手いから安心して聴ける!
ハイドンの頃はサロン音楽としてこんな風に楽しまれていたのではないか、そしてハイドン愛されているなぁ、と凄く伝わってくる演奏でした。なんだかとても温かい音がするのに、それが情熱だけでなくかなりのテクニックで支えられているのが素人でも良く分かりました。

そしてハイドン良く知らなくても、古楽器について分からなくても誰でもこの演奏会は楽しめると思いました。まさに私がそうでしたし、クラシックにちょっとでもご興味があればきっと素晴らしい経験が出来るのではないかと思います。(アンコールに77番の第2楽章を演奏されましたが、「誰も知らないでしょ」と鈴木先生・・・(^_^;でも大変心和む良い曲。聴いてみたいのですが7枚組みのCDに入っていなかった・・・)
周りを見ているとクラシックファンだけでなくご近所さんらしき方もチラホラと。この大変優れた演奏を身近に聴ける環境にあることが、とても羨ましく思いました・・・。
次のOLC定期演奏会が10月19日に同じ上野学園 石橋メモリアルホールで開かれます。個人的にはF1日本グランプリの次の週なので行けるかどうか分かりませんが出来たら足を運びたいと思っています。オーケストラの特性から古典派と呼ばれる(ハイドン、モーツァルト、ベートーヴェン辺りが代表格か?)曲目が中心になると思いますが、鈴木さんの親しみあるキャラクターも、クラシック音楽を身近に感じられる入り口になるのではないかと思います。というかお好きな方は特に、こんな素敵な演奏見逃すのは非常に勿体無いですよ!
という訳で今後とも注目したいオーケストラがまた一つ増えて、帰り道は多いに家人とハイドンとOLCで話がもちきりになった、土曜日の夜でした。

※こちらはハイドンではありませんが、OLCの動画もあったのでご紹介。次の定期ではベートーヴェンの4番を演奏されるのですよね・・・3番と5番に挟まれた地味な存在を、どう繰り広げられるのでしょうか?

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