2012年5月17日

魅惑の世界を凝縮~野口久光・シネマグラフィックス展に行って来ました。

イラストをまた描くようになったからなのか、それとも藤城清治さんの作品や田宮模型に出かけてその芸術性に驚いたからなのか、最近以前にはなかった「展覧会」に出かける機会が増えています。
どうも私個人は、特に特別展なんかで見かける「○○分待ち」の表示や、作品に対して観衆が多すぎて、あちこちの角度から見つめることは勿論、直視するのですらタイミングを見計らう、といったような状況は好きではありません。(勿論そんな環境がお好みの方はいないと思うけど・・・)
コンサートは指定席なので多少は安心感があるものの(それでも、周りの観客によってはそれでもとてもがっかりします。)、ゆっくり落ち着いて、という環境は作品に向き合うときにとても大切な事なのではないかと思います。

昨日は私にしては珍しく、電車を何回か乗り換えて、6月24日までうらわ美術館で開催されている野口久光・シネマグラフィックス展に足を運んできました。
大高博幸さんが以前この方のポスターを絶賛されていて、その事を記憶していたからだと思いますが、三鷹でレ・ヴァン・フランセを聴きに風のホールに出かけたときそのポスターを見た時から、これは行かなくては!と、都内でもない催しではないのに何故か思ったのでした。(ひょっとすると、コバトン・カフェにも行けるかも!という別の欲があったからかも知れませんが^^;ちなみに両者は散策でいける範囲にありました。)

そしてこの日がとても天気が良くて、これは是非行かなくては!と衝動的に浦和まで出かけていきました。
まず腹ごしらえも兼ねて、埼玉県庁の一角に出来たコバトン・カフェのピザも本格的で大変美味しく(ただ、ちょっと出てくるのが遅かったけど、許しましょう。本当いい感じの、さっくりもっちりのピザでした。昼と夜で生地が違うそうです。ちなみにテレ玉、と明太子ディップで書かれているの、分かりますか?こちらは3種くらいの味が楽しめるタイプでした。)

コバトン・カフェから歩く事数分、浦和ロイヤルパインズホテルの中にうらわ美術館はありました。
戦前~1960年頃までの洋画(それもヨーロッパ映画が殆ど)の映画ポスターの数々(原画も一部ありますが、ポスターそのものがまず貴重なものばかりです。)が展示されているのですが・・・
凄い数!しかも多彩!それに一つ一つがどんな映画なのか、ワクワクして見たくなるものばかり!
(ポスターの脇に作品についてのあらすじが説明されていますが)
思わず夢中になってかじりついてみてしまいました。お客さんもまばらなので、大変ゆっくり作品に思いをはせる事ができました。

大変恐縮なのですが、この作品群の中で私が映画として今まで見たことがあったものはベルリンオリンピックを扱った「民族の祭典」だけだったのですが・・・
これどこかで上映されないかな、と思ったものが数多く。どうも実現できるとすれば、近くだとこちらのイベント(ショパンの”別れの曲”という映画とコンサートのジョイント)くらいしか思いつかなかったのですが。※ちなみに別れの曲に関してもサイトが。
当時の映画のタイトル、作品内容、描かれている俳優や小道具、キャッチコピー、そして勿論野口さんの映画に対する描き方の要素や文字(この、野口さんが手がけられている字体が、また魅力ある雰囲気を醸しています。)が重なったこれらの作品に、単に時代を映しただけでない、凝縮された世界を表現しているように思いました。
これらは当時は勿論、映画を観に足を運んでもらう為の宣伝用に描かれたものなので、まず映画ありきなのですが、それでも野口さんの視点、野口さんの個性が様々なジャンルの作品に対してどこか忍ばせてあるように思いました。色使いとか、俳優さんの立ち位置とか、省略やデフォルメなどに。上手く書けませんが・・・本当に作品ごとに違うタッチ、色がデリケートに使われています。
これらは全て日本で使われたもので、一部の映画については現地公開版のポスターも飾られています。その個性の違いも合わせて楽しむ事ができます。

思わず図録を買って帰ってきてしまいました。自分で絵の一つ一つを楽しむ為でもあり、イラストを描くための一つの指針でもあり、また、新たな作品と出会うチャンスになるのではないかと。(戦前のは難しいかな・・・気になるものはそちらに特に多かったのですが。)
とても充実したひと時でした。沢山の映画が描かれているので、このうちのどれかは実際に見てみたいとも思っています。
(一番気になっているのは、下の写真中央下の「夜の空を行く」という映画なのですが・・・サン=テグジュペリのオリジナル脚本らしいんだけど。)



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