「面白そうなんだけど、この日は出張でどうしても行けないし…だからひとりで聴いてきて」 とパンフレットに挟んであったチラシとともに主人から言われた一言がきっかけでした(^_^;)
チラシにあった山形弦楽四重奏団は現在山形交響楽団のメンバーで構成されており、信頼できる山響の面々だから、私も何となく眺めていて演奏会そのものは面白そうね、位に思っていたのですが・・・
でも、でもですよ。
「白鷹町ってどこ?」「紺野陽吉さんって誰?というか、日本人作曲家良く分からない・・・」
みたいな私が一人出かけても果たして大丈夫なのでしょうか。
チケットを買おうとチラシの電話番号にかけ、「東京から行く」と話したら大変驚かれました・・・そりゃそうか。
そんな不安を抱えたまま、今回の演奏会で唯一わかるプログラムだったモーツァルトの「狩り」をiPodにダウンロードし(アルバン・ベルク四重奏団のです)土曜日にひとり、私は新幹線のホームにたつ事になったのです。
交通アクセスに不安を感じたため、米沢で一泊して(直江兼次の甲冑や上杉謙信の肖像など心惹かれる展示物を見てきました)、日曜日に米坂線→フラワー長井線を乗り継いで(米沢から約1時間)、え、これ駅?(すみません・・・)みたいな四季の郷駅を降りると、そこから程なく会場の白鷹町文化交流センター”AYu:m”あゆーむが見えます。
そちらの様子はこちらのアルバムからでも少しは分かるでしょうか。
あゆーむは大変立派な、木の温かみを随所に感じるゆとりある会場で、展示室も演奏ホールも小ぶりながら、そのままボーっと一日いて好きなクラシック音楽(音源がこれまた豊富!)音楽をロビーの音響システムに任せて、ただただ外の眺めを満喫したいような所でした。またどこから見ても朝日連峰の山々が素敵!オーストリアみたい(行ったことないのに(^_^;)
そして今回の演奏会の中心でもある紺野陽吉さんは、この白鷹町出身の作曲家で、残念ながら若くして太平洋戦争で亡くなられてしまったのですが・・・その方の遺稿3曲が18年前に発見され、それが巡り巡って今回ふるさとのこの地で、山形弦楽四重奏団というまた素晴らしいメンバーで初演されるという大変興味深い内容でした(だからひとりでも行って来い、だったのですね。)
その内容は、新聞記事にもなりました。テレビ取材も来ていたので、山形では放送されるのでしょう。(こちらで見ることが出来れば最高ですが・・・)
私の個人的な感想としては、(初演、もしくは2度目演奏の曲でもあり、表現が拙いことはお許し願いたい。)最初の弦楽二重奏曲は、ふるさとの(まだ私はその風景をほんの数十分前に知っただけですが)生活と四季の眺めを思い起こさせ、もう一つの(未完のまま出征され、補作されている)弦楽三重奏曲はなんだか咲き急いでる桜の花を連想させました。そして(楽譜的に)大変難しそうだ・・・よく山形四重奏団はこれを取り上げてくださったと思います。
なのでその後のモーツァルトは、あれだけの演奏が出来るならと安心して臨み、そして見事な「狩り」を聴かせて下さりました。オーケストラとの二束のわらじは大変な事もあるかもしれませんが、今度東京でも聴かせて欲しいなぁ、と思う完成度の高さとハーモニーだったと思います。
大変満足したのですが、それ以上にびっくりしたのがアンコールのハイドン!1-1-3とおっしゃっていたでしょうか。なんとまた美しい・・・これはハイドンの曲にもきちんと向き合わないとと痛感しました。山形弦楽四重奏団はハイドンの弦楽四重奏曲全68曲を定期演奏会のたびに取り上げているそうなので、勉強した上で是非山形弦楽四重奏団で聴いてみたいと強く思いました。
そして紺野さんが残されたもう一つの譜面「木管三重奏曲」は来年またこの地で山響メンバーで演奏されるとのこと。今度は白鷹町で泊まりで、ふたりで行ってみたい.です。本当に素晴らしい、この画のような眺めが待っていますから。
なんですが、演奏会と、もう一つ展示ホールで行われていた「白鷹町の仏像展」でこれまたじっくり面白い仏像の数々を満喫して、さぁ帰るか・・・と思ったら暴風雨が私の前に立ちはだかりました(^_^;)
暗くなりかけた無人駅でポツンと心細く、窓のガタガタ音を聞きながら来るのか分からない列車を待ちました・・・フラワー長井線は5分遅れで来てくれました!一両しかない列車の乗客自分だけ、ひたすら徐行みたいな状態がしばらく続きましたが、(長井で乗客がいたときはホッとしました(^_^;)
何とか米沢まで帰ってきたのですが、もう既に新幹線は止まっていました(^_^;)
仕方なく切符は乗車変更し、米沢のビジネスホテルにもう一泊して(非常に便利な所。ダイソーつき24hマックスバリュが側で今回大変助かりました。食事も手作りで美味しいよ)、翌朝帰ろうとしたら、予定していた8時41分のつばさはいつまで経ってもやってきません。
待つこと4時間。
新幹線は結局やってこないまま、私は米沢のおばちゃん軍団(失礼・・・観光で東京に向かうとのことでした。スカイツリーの話など、和気藹々としていてありがたかったです。皆さん楽しまれたのかな?)と共にタクシー相乗りさせていただき福島へ。そこからさらに乗変したのですが、今度は白石蔵王で予定していた便がストップし(^_^;)いま来たのに乗れ、との指示で仙台からやってきたつばさに乗りました(ダイヤが大幅に乱れていた為、凄く珍しい事らしい。)
本来の予定からは18時間、翌日の新幹線からも5時間近く遅れた月曜日の夕方5時ごろ、無事に家に辿り着いたのでした。
いやほんとう、この度は、この旅で、多大なご迷惑をおかけしました・・・
忘れられない、楽しい3日間ではありましたけどね。
※記念にパチリと撮っていた切符の写真。実際はこのどれでもない新幹線に乗って帰りましたが・・・