2015年6月8日

台風のノルダ、の話題に乗るだ?Σ(゚д゚lll)

ば、馬鹿者…Σ(゚д゚lll)

今年は本当、珍しいことに映画を良く観に行ってます。
今回は新進気鋭というスタジオコロリド作の「台風のノルダ」。
Google+でフォロワさんからこの映画について特報が回ってきて、何だか気になったのです…
ただしばらくしてから、次に台詞のついた予告編を観た時、すみませんあんまり声の演技良くないなぁとも思ったのですが;^_^A
まぁ折角クチコミで気になったのだからとTOHOシネマズ新宿へ行ってきました。
直前に知った事としてこの作品は30分?もう一つ短編合わせて45分?と驚きましたが、そのせいか当日券大人でも1200円でした。
こういう短いアニメ作品や短編映画の通常上映は、なかなか機会に恵まれなかったりしますし、見る側の楽しみを増やす点でもアリかも知れません。

そして作品なのですが…すみません、映画館を出た時から首をひねりました(;^_^A決して全くもってつまらない訳ではないし、作りはとても緻密で凝っていたけれども、クチコミなかったら見に行かなかっただろうな、が第一印象でした。(あ、でも宇宙船のCGは映像から浮いていたと思いますが)
というのも私はアニメ雑誌をとある漫画の為に毎月買って大体のページは勿体ないから一応見る、でもそこに載っているアニメは殆ど観る事はないのですが、…そんな私でも「こういうのって、なんかどこかで見た事ないかい?」みたいな絵やモチーフで飾られているような気分になりましたし、何より観賞後の余韻が薄い。
例えばノルダさんのおかれた背景、時間が少ないのは分かるのですが宇宙人なのは伝わっても、彼女が特殊能力を持つのかはたまた偉い人なのか、一体何に縛られ、例え解放されてひとり無事に帰ってもその後どうなるのかも分からない。単なる可愛い少女で、彼女の背後に控えている筈の異惑星での物語を感じる事が難しい。

その説明はもしも台詞でなくても、例えば着ていた服や言葉遣いでも多少匂わせることは可能なはずですが…となると、最初の全裸で着替えてるシーン、いるの?になるし、第一ドラマの展開上彼女が学校の制服である必要がどこにもないと思いますが…
男性陣ももうちょっと、喧嘩というか、仲違いの原因を主人公の台詞だけに留めるのは…とも感じました。
30分にしては話しがきちんと纏まっていたけれども、時間が短いことを盾に勢いで見せたのかなぁ、と突っ込みどころも決して少なくないように思いました。
そして声も終始、演技がキャラクターに浸透したような感じはしませんでしたし。
でもそれでも台風のノルダはまだ納得し、繰り広げられるドラマに委ねながら観ることが出来たでしょうか?

個人的にはその前の短編「陽なたのアオシグレ」はもっと苦手でした…
映像は畳み掛けるジェットコースター的要素を含む演出とおもちゃ箱的洪水が鮮やかで、映像も美しく楽しそうなのですが、この作品に関しては
「"小学校高学年〜中学2年生位の思春期の淡いココロと妄想"に見せかけてるけどこれ、作り手のオトナがする妄想じゃない…?」としか思えませんでした。
この点についてあえて何か一つ書くとすれば、物語は日野が舞台らしき場所になっているのに、鳥に乗って繰り広げられる男の子の妄想になると新宿西口一体が背景にあるのは彼の幼さそうな年齢と経験値からあり得ないだろう…と。
物語だから、演出だから良いじゃない、かも知れないけれども一方、彼の心に描く世界はそんなに狭く纏まったものなの?となりました。
15分あまりと、短かった筈なのにえらく長く感じました…。










2015年4月27日

作品を一切を読んだことのない人の映画感想。「ドラゴンボールZ 復活のF」

こちらのブログを書くのは二年ぶり?になるのでしょうか・・・
そして何故かまた映画作品の感想文です。
私個人はなんということか、「花の詩女 ゴティックメード」以外の作品では「風立ちぬ」を見てから映画館に足を運ぶことはずっとずっとしていなかったことでした。
コンサートや他のことで忙しかったのもあったのですが、「1時間以上拘束されて興味がわかなかった時の損失」が辛かったのかもしれません。

なのですが、2015年4月、突然私は4回も映画を楽しんだようです^^;
一つはTOHOシネマズ新宿でのこけら落とし上映で行われたゴティックメードだったのですが、それにしたって、こんなことは非常に珍しい!!
「ディオールと私」
「ROAD」
どちらも映像はとても美しく、また繰り広げられるドラマに魅せられた時間でした。(偶然ですがどちらもドキュメンタリー映画でしたね!この2作品はどちらも現在も上映中&全国巡回するようなので機会がありましたら是非皆様もどうぞ!)

しかしこの映画に関しては・・・自分でどうして選択したのかもよく分かりません。
永野護先生と川村万梨阿さんのサイン色紙を見たいがゆえに、劇場(TOHOシネマズ新宿)に入るには何か作品を選んで映画を観てこなければなりませんでした^^;
そして散々映画館の上映リストを見て悩み、私が選んだのが・・・何故かこのドラゴンボールでした。
私はこの漫画も一切読んだこともなく、よりによってIMAX3D上映形式でチケットも一番高かったこの作品を選んだのは・・・、脚本を原作者の鳥山明先生ご自身が書いているというニュースを何処かで目にしたような記憶があったから、かも知れません。(IMAXという上映システムにも非常に興味はありましたが)
でも今思えば、この作品に私が呼ばれたのかもしれないなと、思いました。

映画を見た二日後にSNS/Google+でこの映画の感想文を書いています。
その後劇場入場者特典で頂いた謎の冊子を開いたのですが、これがなんと設定資料集でした^^;
それでキャラクターのお名前とかある程度のこともわかったのですが、この後の本文はあえて直しませんでした。
しかし鳥山明先生と永野護先生・・・ひょっとして天才は何処かでえらく似通っている?
そんな事を思いながら設定資料集を眺め、鳥山明先生のお言葉にどこか考えてしまったりしてしまうのでした。

では漫画作品を一切読んだことのない私が鑑賞した「ドラゴンボールZ 復活のF」(なんと映画化19作目らしい)の感想文をこの後でお送りすることにします。
ネタバレ注意ものだと思いますので鑑賞予定の方は読むのを避けて下さいね。
(尚、永野先生ファン向けのことは私の別ブログ”絶対秘密。”で書かせていただきました。ご興味有る方は良かったら。)


2013年8月8日

風立ちぬをざっと書く。

昨日映画「風立ちぬ」を見てきました。

宮崎駿さんというか、スタジオジブリもの・・・
私は「風の谷のナウシカ」に関してはその混沌と力強い世界が原作漫画、アニメーション映画も両方大好きです。(漫画を読むとアニメのラストはちょっと・・・なんだけど、人物の動きや世界の作りこみとかはやはりかなり素晴らしいのひとこと。)何せ幼い私がアニメーションに嵌ったのがこの映画でしたから。自分に与えた影響は相当強く大きいと感じます。
ただ他のジブリ映画に関しては作品による・・・というかどうもジブリ映画の「世間的にも当たり作品」とは相性が悪く、「魔女の宅急便」「もののけ姫」「千と千尋の神隠し」についてはあまり良い印象がありません。この辺りは書くと長くなるので置きますが。
そういう事もあり、最近のジブリ作品は見たり見なかったり。劇場へ足を運んだのは「ハウルの動く城」以来になります。※ハウルは最初の数分だけ非常に好きです。あれで全てだと思ってしまうのですが^^;

今回評判が多様なのとtwitterのフォロワーさんにもお薦めされ足を運んでみました。とはいえ映画について全然知識がなく、スクリーンに向かう前に知っていたのは零戦の設計者を「モデルにした」お話であること、主人公の声を庵野秀明さんが充てられているのと、ヒロインの名前が「菜穂子」であること・・・いえ私字は違いますが本名は「なおこ」ですので、変な気分になるかなぁと思いながらも、それだけしか知らなかった事を先に書いておきます。

以下ネタバレを含んでおります。未見の方は読まないほうが。

主人公の夢が映画とリンクしている構造になっていて、「本人はただ理想とする飛行機を作りたいだけ。それがどう使われようとその後は自分の及ぶ所ではない」という感じを受け、なんというか、とても優れた創造者の日々を視覚的に分かりやすく追う、みたいな展開になっていたように思います。そしてそれは自分にはとても真似が出来ませんが、確かに誰もが一日に24時間しか時間を与えられていないのでとある目標に追求に追求を重ねるとそんな人生になってしまう、そしてそれは代償を伴いつつも清清しささえあるかな、とは感じました。
出来上がった飛行機が彼の夢の中で破壊され消えていくのは、彼にとって「最善と思って設計した先の限界が見えてしまう」のでしょう。ひょっとするとエイドリアン・ニューウェイなんかはF1の新車を設計してそれが出来た時点でもう、また次の改めなくてはならない点が浮かんでくるのかもしれません。
そして人生の殆どを飛行機に没頭しているから彼は時々人の話を聞いていない。その辺りの描写はアクセントになっていて上手いなぁと思いました。これまた時々出て来る堀越二郎の妹、佳代とのシーンでも強調されていますよね。
そしてそんな彼を、堀越二郎は親切でとても優しいけど、一方ではそんな人物だと知っていても、全てを受け入れ命を賭して愛を貫いた菜穂子さんの存在・・・ってあの「運命を伴ったような」出会いは反則にちかいものが(^^ゞだってあれでは全面的に、ずっと信頼を置くに決まっている・・・!そしてそういう展開に私は非常に弱い(^^ゞ(^^ゞのですが、それゆえに気になった所があります。

ラストシーン、夢の中でカプローニさんと談話する所に菜穂子さんとの再会がありますが、彼女はやがて消えてしまいカプローニさんとは話が続いています。これって「零戦の時は彼女はかけがえのない存在だったけど、その後の人生には(思い出としても)寄与しなかった」ということなのですか?
生きてその才能を発揮し、堀越二郎としての人生を切磋琢磨して輝いて欲しいという彼女の言葉は届いたかもしれませんが、夢であっても彼の中でずっと寄り添って欲しかったとは思うのです。夢なんだから。それとも愛も大事だけど結局は自分の夢に生きてしまった、と取る所なのでしょうか・・・
その辺りと、キャッチコピーの「生きねば。」がやや唐突かな・・・。堀越二郎は戦後も長くご活躍なさっているので、零戦での光と影を見た、そんな今後の彼の人生もほんのちょっと、覗かせてもらえれば良かったかも知れない気はしました。
というか最後のシーンは観た時は「もうこの世にいないもの」としてのシーンなのかと思いましたよ。

個人的には大正~昭和初期の風景・・・最近親戚や家族から昔の写真を色々見せてもらっていたので、その時はこんな感じだったのか日本、というイメージと今とのギャップがより具体的に広がりをみせてとても興味深く、また観ていてタイムスリップをしているようでもあり、とても素敵だと思いました。上野や名古屋駅とかは行かれたことのある方は、今でもああそんな名残がある!というのがお分かりになったかも知れません。
そして飛行機のドラマなので空はとても美しく、飛翔する飛行機は映画の「夢でも現実の世界でも、」触れてはいけない領域も感じる危うさと孤高さが混じった描写がされているように感じられ、これはテレビではちょっとそんなことは感じなかっただろうなと思ったので、その点では観に行ってよかったと思いました。

ただね、ただ・・・
主人公のビジュアルは何とかならなかったのかなぁ。ちょっと現実味なさすぎるだろうに。才気溢れる創造者として、庵野さんを採用した声の意図は理解できたけれど(合っていたと思います。演技がどうかは別で(^^ゞ)パズーをそのまま若干歳を取らせて眼鏡かけただけじゃないか。菜穂子さんはヒロインなのでドラマの展開も考えれば美少女で良いのですが、堀越二郎は外見をもっと「ありきたりな」青年で描けなかったのかな・・・震災から殆ど姿が変わっていないのも違和感が。子供時代にいじめっ子を投げるシーンも、格好良すぎなイメージを付け足しているようでその辺りも気になりました。普通は駄目なんですかね?あれだけ好青年なら菜穂子さんはどんなルックスでも惹かれてくれると思うけど。他の面々が個性的に書かれていたので尚のこと・・・映画的に二枚目でないと駄目なのかなぁ。

そんな所です。ざっとで申し訳ありませんが、私になりに書かせていただきましたm(__)m2時間楽しかったですよ。何かに打ち込んでいる方は特に、一度観ておいても損はないように思いました。

2013年6月9日

音楽が語りかける!〜オーケストラ・リベラ・クラシカとハイドン

〜何はともあれ、ハイドンの明るさ溌剌さ、滋味、ユーモア、そしてアタマを使わせられるアイデアの数々を、オリジナル楽器のサウンドと共にどうぞ最後までお楽しみ下さい。〜

この一文は、昨日行ってきたオーケストラ・リベラ・クラシカ(以下OLCと略します)第31回定期演奏会のパンフレットに書かれている指揮・チェロ独奏・何よりこのオーケストラの主宰でもある鈴木秀美さんのお言葉から最後の部分だけ抜き出したものです。
そしてそのお言葉通りの世界、それも物凄くウキウキ和やかで、かつ音楽がキラキラ輝き出した瞬間を味わってくる幸運に恵まれたのでした。

今回の演目はこちら。
会場は上野から徒歩数分の所にある上野学園 石橋メモリアルホールです。
オール・ハイドン・プログラム
チェロ協奏曲第1番ハ長調 Hob.VII-b.1
交響曲第4番ニ長調Hob.I-4
交響曲第87番イ長調Hob.I-87

ハイドンについては全く知らない訳ではありませんがそれでも「殆ど知らない」に等しい位でしか認識していなかった様に思います。
何回か演奏会で交響曲聴いていますし(鈴木さんとは山形交響楽団との2011年7月の定期演奏会を山形で聴く事が出来ました。あの時の「軍隊」もとても楽しかったなぁ。この演奏会はCDになっていますので良かったら)何より3月白鷹町で聴いたアンコールのハイドンの弦楽四重奏1番の一部…本当に一部なんですよ。その穏やかな美しさに惹かれて俄かにハイドン熱が盛り上がり、もうちょっと良く知りたいなぁ、と思ったのです。ところが…
ハイドンが多作だというのは以前から知ってはいたのですが、アンコールの弦楽四重奏の1曲が知りたくて買ったNAXOSのハイドン弦楽四重奏全集は25枚組!交響曲は「軍隊」が100番だから覚悟していたけど全集だと34枚!とてもじゃないけどすぐに味わい尽くすのは無理無理無理。
でも交響曲も多少知りたかったので中期中心の7枚組を買いました。その頃紀尾井シンフォニエッタでの定期演奏会で88番「V字」がプログラムにあったこともあったからです。この曲もとても優雅で、あの時も楽しかったなぁ…ついでに次の89番は「しょうじょうじの狸囃子」に激似で別の意味でおかしい…
そうしたら今度は44番「悲しみ」がテレビ・題名のない音楽会で特集されたり、ちょっとしたマイ・ハイドンブームがやって来ていたのです。必然的にハイドンを良く取り上げるOLCにも関心が行くわけですが…しかし上野(それも駅からちょっと歩く)遠いなぁ、あと前から書いていますが「演奏会を聴くのも頭やエネルギーを消耗する」行為でもあるため、実際に行くと決めたのは演奏会の前々日、結構ぎりぎりでした。
ハイドンの膨大な曲目リストからも当然?知らない曲ばかりで、急遽87番だけ数回CDを付け焼き刃で聴いてから行きましたが果たしてそれでいいのやら…しかもピリオド奏法はまだしも、OLCの特徴でもある当時のオリジナル楽器使用ってひょっとするとマニアック過ぎてついていけないかもしれない、という不安も若干チラつきました。

ところがどっこい!!最初の音からその柔らかい世界にニコニコして聴いていました。オリジナル楽器の知識まるで必要なし(あればもっと楽しいでしょうけど・・・恐らく現代のオーケストラ楽器よりどれも演奏は難しい筈です。)
ホールと楽団の規模も非常に合っている。実はこの要素はとても重要だと思っています。時折興行的側面から、リサイタルを大ホールで行ったりしてそういう時は音が分散したり、あるいは小さなホールで詰め込みすぎて聞えがよくなかったりするのですが、ここではベストに近い感じ組み合わせ。凄く豊かな音が広がりを持たせつつ心に真っ直ぐ響いてくるのです。そしてとてもとても上手いから安心して聴ける!
ハイドンの頃はサロン音楽としてこんな風に楽しまれていたのではないか、そしてハイドン愛されているなぁ、と凄く伝わってくる演奏でした。なんだかとても温かい音がするのに、それが情熱だけでなくかなりのテクニックで支えられているのが素人でも良く分かりました。

そしてハイドン良く知らなくても、古楽器について分からなくても誰でもこの演奏会は楽しめると思いました。まさに私がそうでしたし、クラシックにちょっとでもご興味があればきっと素晴らしい経験が出来るのではないかと思います。(アンコールに77番の第2楽章を演奏されましたが、「誰も知らないでしょ」と鈴木先生・・・(^_^;でも大変心和む良い曲。聴いてみたいのですが7枚組みのCDに入っていなかった・・・)
周りを見ているとクラシックファンだけでなくご近所さんらしき方もチラホラと。この大変優れた演奏を身近に聴ける環境にあることが、とても羨ましく思いました・・・。
次のOLC定期演奏会が10月19日に同じ上野学園 石橋メモリアルホールで開かれます。個人的にはF1日本グランプリの次の週なので行けるかどうか分かりませんが出来たら足を運びたいと思っています。オーケストラの特性から古典派と呼ばれる(ハイドン、モーツァルト、ベートーヴェン辺りが代表格か?)曲目が中心になると思いますが、鈴木さんの親しみあるキャラクターも、クラシック音楽を身近に感じられる入り口になるのではないかと思います。というかお好きな方は特に、こんな素敵な演奏見逃すのは非常に勿体無いですよ!
という訳で今後とも注目したいオーケストラがまた一つ増えて、帰り道は多いに家人とハイドンとOLCで話がもちきりになった、土曜日の夜でした。

※こちらはハイドンではありませんが、OLCの動画もあったのでご紹介。次の定期ではベートーヴェンの4番を演奏されるのですよね・・・3番と5番に挟まれた地味な存在を、どう繰り広げられるのでしょうか?

2013年5月20日

エリック・ル・サージュに思いを寄せる・その2

さて続きです。
その1でも少し書いたのですが、エリック・ル・サージュはいわゆるピアノのソリストとして以上に、他の楽器を伴ったアンサンブル・ピアニストとしてのご活躍が多く、昨年もフランスのクラシック・スーパー軍団(としか書きようがない気がする(^_^;)のレ・ヴァン・フランセの一員として来日しています。
(レコード会社との兼ね合いなのか幾ら検索してもル・サージュさんの写真が出てこないのですが、間違いなく一員です。この面々は去年NHKのらららクラシックでも特集されました。)
このためかどうか良く分からないのですが、実はあんまり知られていない存在?なのでしょうかル・サージュさん。こんなに「世界を構築している」のに・・・
レ・ヴァン・フランセでのアンサンブルも美しかった&サイン会での優しそうな微笑みは印象的だったのですが、やはり今回のリサイタルは彼独自の音が聴ける!と興奮気味でその日を待ちました。
そして・・・

翌日、頭が彼の音で溢れかえりそうになって、体調不良&頭痛に襲われました(^_^;)

いや、真面目にそうだったのです・・・。
私のからっぽアタマでは、彼の用意してくださった盛りだくさんのプログラムは私の中でそうたやすく消化しきれなかったのです。
ただでさえコンサートというのは、・・・それが例え聴く側であっても、普通の生活とは全く異なる世界を体感するということであり、身体を消耗させる行為なのです。(これはブログを書くとか、絵を描くような場合も同じ事です。運動とは違う心と身体を使っている感じと言いますか)クラシックの演奏会には多少慣れている方だとは思っていましたが、まさかこんなことになるとは。

今回のプログラムは、ル・サージュさんが今自分が表現したいものディナーに見立てて組まれたそうです。
ドビュッシー「子供の領分」
ドビュッシー「版画」
(これが前菜)
ベートーヴェン「ワルトシュタイン」
(これがメインその1)
~休憩~
シューマン「幻想曲」
(こちらがメインその2)
ドビュッシー「映像 第一集」
ドビュッシー「喜びの島」
(ここでデザート)

紀尾井ホールに着いてまず驚いたのが、開演が19時なのに終演が21時20分だということ。オーケストラの定期演奏会は大抵2時間が多いのに、リサイタルでそのボリューム!
尚私個人としては幻想曲と喜びの島は知っていましたが、ワルトシュタインは自信なし、あとは・・・みたいな状態で臨んだ事を先に書いておきます。

実はドビュッシーもシューマンも、ル・サージュさんは得意ですしもともとフランスの方ですから、もうドビュッシーなんて多分他の国のピアニストでは表現しきれていない「フランス的なもの」を模様のように出しつつ、控えめな煌びやかさと、まるで一枚の絵と対面しているような色彩感を出しておられました。
それはそれはもう、ここでしか聴けない空間だったのです。(なのにドビュッシーを録音されていないのは、あんなに確立した表現をお持ちなのにも関わらず、まだ彼には表しきれていない部分があるとお感じになられているのでしょうか?)
この世界感に関してはリサイタルの前々日にあった中木健二さんとのデュオでも存分に発揮されていて、乱暴に書いてしまえば「ちょっとやそっとじゃ日本人には真似できそうもないニュアンスのある」演奏なのです。お洒落と書くと途端に野暮ったくなりますが・・・
でもその辺りは私の想像以上でしたが、ある程度、ル・サージュさんの面目躍如だというのは事前に思い描いていた事でした。

しかし今回の彼の演奏で、私が尤も心を捉えて離さなかったのは実はベートーヴェンの「ワルトシュタイン」だったのです。
ただ先ほども書きましたがこの曲・・・いつかどこかで聴いた筈なのですが良く覚えていなくて、という体たらくでしたし、そんな私があんまり声高に書くのもどうかと悩みましたが
「凄くロックだなぁ。やっぱりクラシックも古い曲ではなくロックに通じる所が多分にあるんだなぁ、いいなこれ。」とずっと興味深く聴いていたのです。
こういう、クラシックなのにロックのように感じた体験は実は2度目で、初回は2004年の山形交響楽団で、まだ音楽監督になられていなかった飯森範親さんが指揮されたベートーヴェンの「運命」だったのです。そしてその時の印象が、それまで殆ど知らなかった世界への感銘となって、その後のクラシック趣味へと繋がっていたのです。

演奏会後でこの時の感想などを検索すると、このワルトシュタインに対しては批判的なご意見も多く見受けられたので、この演奏はかなり型破りなタイプのものだと知ったのは翌日になってからの事でした。同行してくれた家人も「テンポが急に変わったりしていたし一番ピンとこなかった」と話していました。
なので私の感想はかなりへんちきりんなものかも知れませんが、ル・サージュさんは今年になってからベートーヴェンのピアノソナタを録音して来年CD化されると聞いていたので「いや~、出たら絶対買おう!」と思ってしまったのは確かです。
実は他の演奏者のCDや演奏を聴いたら印象が変わるのかな・・・この辺はそうした方がいいのかも含めてとても悩ましい所です。

大雑把ではありますしどうも視点の違う感想のように思いますが、次の日頭痛で苦しんだくらいの、エネルギーに満ち満ちた演奏会であった事には間違いないと思います。
そして今一番気になっているのは、どうもこのリサイタル、録音されていたのではないかという感じがしてならないのですが・・・NHK-FMあたりで放送してくださらないでしょうか。
そうなったらツイッターでもブログでも全力で宣伝します!
エリック・ル・サージュの魅力は彼にしか生み出せない世界が、音の広がりがあるという、文字ではさっぱり説明がつかないので(オイ!)是非そのような機会があれば皆様にも「体感」して頂ければ幸いです。
えっすぐに?・・・eric le sage と検索すれば動画も幾つか出てきますが・・・こちらとかいかがでしょう?彼はいつもスタインウェイのピアノなのですが、この映像だとヤマハだ!おおこれはとても嬉しいです。少しでも彼の細密で色とりどりの雰囲気が伝われば良いな。

エリック・ル・サージュに思いを寄せる・その1

そうか・・・こちらでは一度も取り上げた事がなかったか。エリック・ル・サージュさん。
ツイッター、あるいは漫画ファイブスター物語に特化したブログ「絶対秘密。」では何回も取り上げているアーティストだったのですが。いかに私がぐうたらなのか分かってしまいます。

2年前、2011年の11月にあった紀尾井シンフォニエッタの定期公演で・・・ヴァレーズさんの指揮でしたっけ・・・そこで私は今までに全く耳にしたことのないピアノを聴きました。
曲はラヴェルのピアノ協奏曲で、この曲は私も好きですし、また多くのオーケストラがその華やかさとプログラムの組みやすさからかとても多く取り上げるため、ひょっとすると生演奏では一番聴いたかも知れない部類のコンチェルトなのですが、曲はあまりにお馴染みなのに、全然私の知らないラヴェルが響きだしたのです。音が鳴っているのに静寂が広がる不思議な世界。
そしてアンコールのドビュッシーのこれまた経験したことのないクリスタルのような数分の世界が終わるや否や、私は真っ先にCDを買いに走ったのです。
ただラヴェルもドビュッシーもなかったのでどれを手にしたら良いのか分からず、ジャケットに惹かれた写真一番左上のシューマンを買いました。

それがエリック・ル・サージュとシューマンとの出会いでした。この出会いがなんと幸運だったか!ル・サージュのシューマン全集は11枚(多くは2枚組み)もあってボリューム的にも価格の面でも(^_^;)大変でしたが半ば無我夢中になって集めました。だってどれも耳を離さない曲と演奏だったから。
(最近このシューマン全集は、廉価盤としてピアノ、およびピアノを含む器楽曲版としてまとめて出されております。はっきりいって超お得!ご興味ある方是非手に取っていただきたい・・・ピアノ版なんて13枚組みで3千円台ですから。)
何度ロマンスと悲哀と温かい眼差しに溢れた世界が私を魅了した事か。これは演奏者がシューマンに似ているんじゃないんだろうかと幾たびも思ったほどです(いや、実際はそんな単純ではないとは思いますが・・・)

その彼が、紀尾井シンフォニエッタでの評判が良かったからなのか同じ会場でリサイタルを開いてくれる事になり、しかも同時期にチェロの中木健二さんとのデュオ公演もあると知り、「これはル・サージュ祭りだ!」と勝手に宣言して発売日当日にチケットを購入し、その日をずっと、今か今かと待ち構えていたのでした。
長くなりそうなので次項に。
今回やっと揃ったシューマンの11枚(一部パンフレットなどで隠れてますが)の作品群とともに。このジャケットだけでもうっとりする感じに仕上がっています。ただ、ル・サージュさんの写真はちょっと古すぎです(^_^;)直さないのかな・・・一枚サインが入っているのは昨年のレ・ヴァン・フランセのときにいただいたもの。この辺りの事も若干次に書いています。。

2013年4月9日

米沢白鷹ひとり旅・・・大分色々ありました(^_^;)

それは、3月に酒田の希望ホールで山形交響楽団を聴きに出かけた直後の事でした。
  「面白そうなんだけど、この日は出張でどうしても行けないし…だからひとりで聴いてきて」パンフレットに挟んであったチラシとともに主人から言われた一言がきっかけでした(^_^;)
 チラシにあった山形弦楽四重奏団は現在山形交響楽団のメンバーで構成されており、信頼できる山響の面々だから、私も何となく眺めていて演奏会そのものは面白そうね、位に思っていたのですが・・・
でも、でもですよ。
「白鷹町ってどこ?」「紺野陽吉さんって誰?というか、日本人作曲家良く分からない・・・」
みたいな私が一人出かけても果たして大丈夫なのでしょうか。
チケットを買おうとチラシの電話番号にかけ、「東京から行く」と話したら大変驚かれました・・・そりゃそうか。

 そんな不安を抱えたまま、今回の演奏会で唯一わかるプログラムだったモーツァルトの「狩り」をiPodにダウンロードし(アルバン・ベルク四重奏団のです)土曜日にひとり、私は新幹線のホームにたつ事になったのです。
交通アクセスに不安を感じたため、米沢で一泊して(直江兼次の甲冑や上杉謙信の肖像など心惹かれる展示物を見てきました)、日曜日に米坂線→フラワー長井線を乗り継いで(米沢から約1時間)、え、これ駅?(すみません・・・)みたいな四季の郷駅を降りると、そこから程なく会場の白鷹町文化交流センター”AYu:m”あゆーむが見えます。
そちらの様子はこちらのアルバムからでも少しは分かるでしょうか。

あゆーむは大変立派な、木の温かみを随所に感じるゆとりある会場で、展示室も演奏ホールも小ぶりながら、そのままボーっと一日いて好きなクラシック音楽(音源がこれまた豊富!)音楽をロビーの音響システムに任せて、ただただ外の眺めを満喫したいような所でした。またどこから見ても朝日連峰の山々が素敵!オーストリアみたい(行ったことないのに(^_^;)

そして今回の演奏会の中心でもある紺野陽吉さんは、この白鷹町出身の作曲家で、残念ながら若くして太平洋戦争で亡くなられてしまったのですが・・・その方の遺稿3曲が18年前に発見され、それが巡り巡って今回ふるさとのこの地で、山形弦楽四重奏団というまた素晴らしいメンバーで初演されるという大変興味深い内容でした(だからひとりでも行って来い、だったのですね。)
その内容は、新聞記事にもなりました。テレビ取材も来ていたので、山形では放送されるのでしょう。(こちらで見ることが出来れば最高ですが・・・)
私の個人的な感想としては、(初演、もしくは2度目演奏の曲でもあり、表現が拙いことはお許し願いたい。)最初の弦楽二重奏曲は、ふるさとの(まだ私はその風景をほんの数十分前に知っただけですが)生活と四季の眺めを思い起こさせ、もう一つの(未完のまま出征され、補作されている)弦楽三重奏曲はなんだか咲き急いでる桜の花を連想させました。そして(楽譜的に)大変難しそうだ・・・よく山形四重奏団はこれを取り上げてくださったと思います。

なのでその後のモーツァルトは、あれだけの演奏が出来るならと安心して臨み、そして見事な「狩り」を聴かせて下さりました。オーケストラとの二束のわらじは大変な事もあるかもしれませんが、今度東京でも聴かせて欲しいなぁ、と思う完成度の高さとハーモニーだったと思います。
大変満足したのですが、それ以上にびっくりしたのがアンコールのハイドン!1-1-3とおっしゃっていたでしょうか。なんとまた美しい・・・これはハイドンの曲にもきちんと向き合わないとと痛感しました。山形弦楽四重奏団はハイドンの弦楽四重奏曲全68曲を定期演奏会のたびに取り上げているそうなので、勉強した上で是非山形弦楽四重奏団で聴いてみたいと強く思いました。
そして紺野さんが残されたもう一つの譜面「木管三重奏曲」は来年またこの地で山響メンバーで演奏されるとのこと。今度は白鷹町で泊まりで、ふたりで行ってみたい.です。本当に素晴らしい、この画のような眺めが待っていますから。


なんですが、演奏会と、もう一つ展示ホールで行われていた「白鷹町の仏像展」でこれまたじっくり面白い仏像の数々を満喫して、さぁ帰るか・・・と思ったら暴風雨が私の前に立ちはだかりました(^_^;)
暗くなりかけた無人駅でポツンと心細く、窓のガタガタ音を聞きながら来るのか分からない列車を待ちました・・・フラワー長井線は5分遅れで来てくれました!一両しかない列車の乗客自分だけ、ひたすら徐行みたいな状態がしばらく続きましたが、(長井で乗客がいたときはホッとしました(^_^;)
何とか米沢まで帰ってきたのですが、もう既に新幹線は止まっていました(^_^;)
仕方なく切符は乗車変更し、米沢のビジネスホテルにもう一泊して(非常に便利な所。ダイソーつき24hマックスバリュが側で今回大変助かりました。食事も手作りで美味しいよ)、翌朝帰ろうとしたら、予定していた8時41分のつばさはいつまで経ってもやってきません。
待つこと4時間。
新幹線は結局やってこないまま、私は米沢のおばちゃん軍団(失礼・・・観光で東京に向かうとのことでした。スカイツリーの話など、和気藹々としていてありがたかったです。皆さん楽しまれたのかな?)と共にタクシー相乗りさせていただき福島へ。そこからさらに乗変したのですが、今度は白石蔵王で予定していた便がストップし(^_^;)いま来たのに乗れ、との指示で仙台からやってきたつばさに乗りました(ダイヤが大幅に乱れていた為、凄く珍しい事らしい。)
本来の予定からは18時間、翌日の新幹線からも5時間近く遅れた月曜日の夕方5時ごろ、無事に家に辿り着いたのでした。
いやほんとう、この度は、この旅で、多大なご迷惑をおかけしました・・・
忘れられない、楽しい3日間ではありましたけどね。
※記念にパチリと撮っていた切符の写真。実際はこのどれでもない新幹線に乗って帰りましたが・・・